間取りを左右する階段の位置を決めるための3つのポイント
注文住宅情報コラム
COLUMN
お世話になります。
コンサルタントの橋本です。
今回は階段についてです。
少し長いですが、ぜひお読みください。
最近、間取り相談をご依頼いただいた方の中でもよく質問をもらうのが、「玄関と階段の位置について」。
今の間取りの玄関と階段の位置が良いか場所かどうかは判断が付きにくいので、建築士に場所的に問題無いかどうか1度見てもらい、改善する点があれば改善したいという方が多くいらっしゃいます。
確かに、玄関と階段は配置次第で間取りがガラッと変わってくるポイントなので、ここを間違ってしまうと間取りは中途半端な感じになってしまいますし、実際にしっくりこない間取りというのは玄関か階段の位置がおかしいことも多くあります。
それだけ玄関と階段の位置と言うのは間取りの中で重要な位置を占めているんですね。
そこで今回は間取りの中でも階段についてピックアップをして、階段の位置が問題ないかどうか判断する時のポイントについてお話していきたいと思います。
間取りが気になる方はぜひご覧ください。
階段の位置はどこが良い?
まず最初に、階段が家のどの辺りにあると1番便利なのでしょうか?
答えは、できるだけ家の中心付近に階段があることです。
家の中心付近に階段があると、2階の各部屋へ行く動線を短くしやすく、ムダなスペースがないコストパフォーマンスの高い家になることが多くなります。
簡単に言うと、家の中心付近に階段を配置することで2階の廊下を少なくできるんです。
反対に家の端、それこそ家の隅っこに階段を配置すると、2階の各部屋へ行く動線がどうしても長くなってしまいます。
同じ隅っこに階段を配置するとしても玄関の近くに階段がある場合はまだマシですが、例えば家の一番奥に階段がある場合はどうなるでしょうか?
家に帰って来て寝室まで行くのに玄関から家の奥まで移動して階段を上り、そこからさらに長い廊下を通って部屋に行く事になってしまうなんてことも。
毎日家の中を端から端まで何度も移動するというのは、やはり不便ですよね。
それだけ階段の位置次第で2階の間取りというのは大きな影響を受けるようになります。
このように、階段の位置が悪いと家の中をウロウロばっかりしてストレスに感じてしまう原因にもなりかねません。
そのため、階段の位置が良いかどうか見るにはまず、家に帰ってきてから部屋へ行くまでの動線がどれくらいの長さになるか1度見てみることが大切なんですね。
ちなみに、階段が家の隅に配置される場合はどういったケースが考えられるのかも少し見てみましょう。
まず、リビング階段にするのか、それともリビング階段にしないかで階段の位置はかなり変わってきます。
リビング階段にする場合、リビングは家の中心付近に配置されることが多いので階段を家の中心に配置しやすくなります。
一方でリビング階段にしない場合はリビング以外に階段を配置する必要が出てくるので、階段を配置するスペースが限られやすい傾向があります。
そのため、寒さ対策でリビング階段にしない場合などは、階段の前に引き戸を付けて寒い時期は区切れるようにしておくという方法も選択肢の中に入れておくと間取りの幅が広がりやすいです。
その他に、特に経験の少ない設計士でたまに見られるケースですが、家の間取りの余った部分に階段を配置してしまい、階段が家の中でも浮いたような場所に配置されているというケースもあります。
玄関やLDK、水まわりの配置に意識が行ってしまい、最後の残ったスペースに階段を配置しようとしてしまうために階段の位置が変になってしまうんですね。
(私も若い頃に仕事として初めて家の設計をした時、ついついLDKの配置に意識が行き過ぎて階段を後回しにして家の端に配置してしまい、上司から速攻でダメ出しを受けた苦い記憶がありますw)
ここまで、家の中心付近に階段があると便利で、家の端に階段があると動線が長くなってしまう理由を見てきました。
では、実際に階段の位置が良いかどうか見極めるにはどうすれば良いのでしょうか?
具体的な方法を見ていきましょう。
階段の配置の仕方
階段は家の部屋、例えばリビングや個室とは大きく違う部分が1つあります。
それは何でしょうか?
答えは、階段には部屋には無い、他の階を繋ぐという機能を持っているということです。
当たり前といえば当たり前のことですが、階段の位置を上手く配置するには、この当たり前のことを再認識する事が第1歩となるんですね。
例えば2階建ての家であれば、階段の位置は1階、2階の両方の間取りに影響をおよぼします。
そのため1階の間取りを造り、いざ2階の間取りをつくるとなった時は階段の位置が決まっているので、2階の間取りは階段の位置に合わせて作る必要が出てきてしまいます。
2階の間取りを作るのに良い位置に階段が来ていれば良いですが、間取りが作りにくい位置に階段が来ていると廊下を長くしたり部屋の形を調整して2階の間取りを作る必要が出てくるんですね。
でもこれ、何かおかしい感じがしませんか?
2階が良い間取りになるのかどうかは階段の位置次第というのは何かもったいないですよね。
2階の間取りが階段の位置に縛られることで廊下が長くなってしまえばそれだけムダなスペースが増えてしまいますし、廊下が長いと暗い廊下になりやすく見た目の雰囲気も悪くなってしまいます。
(2階が変な場合は1階の階段の位置を直せばいいのですが、階段の位置をやり直すには1階の間取りも1からやり直すこととなり、そこまで手間が取れないからと強引に2階を作っている間取りも見受けられるのは残念なところです)
では、どうすれば階段の配置は良くなるのでしょうか?
実は、2階のおおよその間取りを考えてから1階に階段を降ろしてくるという方法の方が、階段の位置は上手くいきやすいんです。
例えば2階の間取りを作り階段の位置を決めて、1階の間取りも上手く作れればベストですが、階段の位置が少し変で1階の間取りが上手く行かないこともあります。
でも、そんな時も2階の方が1階よりも形を調整しやすいことが多く、階段の位置を微調整しながら2階の間取りは変えていく事が容易なので、1階の間取りを作ってから階段の位置を変更するよりも格段に簡単にいろんな階段の位置を検証する事ができます。
(特に2階は玄関という位置を変えにくい物がないので、間取りはいくらでも調整しやすいんですね)
また、吹抜けをつくる場合も吹抜けの広さや効果を最大限考慮しながら階段を配置しやすくなるというメリットもあります。
そのため、1階の間取りを作ってから2階を作るのではなく、2階の間取りで階段がどの位置にあると良い間取りになりそうか当たりをつけてから、1階のその付近に階段が来るように間取りを作る方が間取りをやり直す場合の手間が圧倒的に少なくなり、その分いろんな場所の調整やさらには他にもっと良いゾーニングがあるかを検討する時間が取れるので結果的に良い間取りになりやすいんですね。
この辺りは間取りを作る際のプロの技術の話となりますが、このことを踏まえると一般の方が階段の善し悪しを見る場合はどうすればいいかが見えてきます。
階段を見る場合、まずは2階の階段の位置が変ではないかどうか。
まずは2階の間取りを見ることで、どれだけ間取りの可能性を検証したかの判断がしやすくなります。
さらには1階と2階の繋がりを考えられた位置に階段があるかどうかを見てみると、階段の位置の善し悪しを判断しやすくなるんですね。
階段の位置がおかしい間取りに良い間取りはありません。
どうしても間取りはLDKや水まわりの位置など目立つ部分に目が行ってしまいがちですが、良い間取りにするには1度は階段の位置に注目してみてくださいね。
まとめ
今回は階段の位置について見てきました。
階段の位置と言うのは間取りの中でも1、2階をつなぐ背骨のような部分となり、階段の位置が良ければ間取りはいくらでも微調整ができますが、階段の位置が悪ければ間取りは根本的に改善は望めなくなってしまいます。
人の体で言うと、背骨のゆがみを無くせば姿勢が良くなるのと似ていますね。
間取りが良いかどうか迷ったときは、1度階段の位置に注目してみる。
これを心がけるだけでも間取りの安心感はかなり変わってくるので、ぜひ階段の位置についてはしっかり見てみてくださいね。